川村ユキハルの毎日2

湘南茅ヶ崎界隈のいつもの暮らしぶり。 仕事の話や思うこと。再び。

熱いものは熱く

先方での13時からの打ち合わせは、今日は早く切り上げられそうだからと、昼ごはんを食べずに向かったところ、まあよくある話で、すぐ終わるはずもなく、しっかり2時間かかった。(いや、よきこと!)

 

さあ、腹減ったぞどうすんだ。でも16時から来客ありということで、まず水道橋に戻り駅前の中華料理屋で定食を食べるかと。
中華丼とミニタンメンを頼んだ、最近入った新人が中華丼を熱い熱いとワシワシ食べている。餡があるから熱いのだ。

「おいおい、そんな急がなくていいぞ」と言うと

「僕早食いなんですよね、いつも(彼女もしくは家族)怒られるんですよ」と。続けて

「でも熱いものは熱く、食べたいじゃないですか!」 

その時に、
お、(若いのに)いいこと言うね。と思ったわけです。

だらだら話しながら、すっかり冷えてしまった料理を箸やスプーンを所在無げに遊ばせながら食べるなんてありえない。まあ向かいに座るだれかがそうしたとしても注意はしないでしょうが、いい気分はしない。

そういえば池波先生も本の中で、親の仇ばかりに、天ぷらは揚げたそばからかぶりつけ!なんて書いてあったなと。ふと。

なんてこともあり、会社帰り後半のクライマックスに差し掛かり気になっていた佐藤正午さんの「鳩の撃退法 下」の続きを駅前の喫茶店で「すがすがしく(いい本だったなと)」読み終えたあと、帰りの道すがらヘッドホンをして音楽を聴く気にもなれず、少し戻って同じく駅前の古本屋で文庫本のワゴンから


佐藤隆介さんの「素顔の池波正太郎」にぴたっと目が留まったのでした。 百円。

 

電車で面白く読まさせてもらいましたが(著者の佐藤さんはうちの親父と同い年か)
文面の中で、やはり食に関わる部分が出てきて読みながら「いいぞいいぞ!」ページを繰りながらニヤニヤしてしまいました。

そもそも、池波正太郎さんの本との出会いはもともと親父が読んでたので昔実家にハードカバーや、文庫本がたくさん積んで、もしくは並んでいた。剣客商売しかり、梅安しかり。鬼平しかり。

当時は新刊出せば売れるベストセラー作家だったでしょうから、うちの親父もその当時(今の俺と同い年くらいか)まさに夢中で読んでいたに違いなかった。

暇なろくに勉強もしない高校生の僕はその当時読んだ時代物は吉川英治宮本武蔵くらいで、あまりピンときてなかったのではあるが、偶然その中に「男の作法」という薄いエッセイらしきものがあり、まあ薄いし読みやすいかと、家の本棚から好奇心で手に取ったらそれが滅法面白く、また、「かっこいい大人」がそこにいたのでした。しびれました。

 

そのあと「散歩の時何か食べたくなって」を自分のお小遣いで購入して、ああ、いつか蕎麦を神田のまつやで食べたいなと夢想したものでした。

その後、サラリーマンになって、食通の上司に連れられて神田まつやの暖簾をくぐり、ああここかあとしみじみ思いながら蕎麦をたぐったのでした。が、第一印象は「少ない」でした。野暮だねえ。かっこいい大人にはなかなかなれないもんだ。

 

今年50歳になる今ならわかるかもしれない。
一人で夕方あたりに久しぶりに行こうかな。